はじめに
「ガソリン代は経費になるけど、スマホ代はどうなんだろう?」
「自宅のアパートで伝票整理をしてるけど、家賃は経費にできるの?」
個人事業主として働く軽貨物ドライバーにとって、経費の計算は手取り額(利益)を増やすための生命線です。経費を正しく計上すれば、課税対象となる所得が減り、結果として所得税や住民税、国民健康保険料を安く抑えることができます。
しかし、プライベートでも使うものを全額経費にすると、税務署から指摘を受けるリスクがあります。そこで重要になるのが、「家事按分(かじあんぶん)」という考え方です。
この記事では、軽貨物ドライバーが迷いやすい「ガソリン・スマホ・家賃」の家事按分ルールについて、具体的な比率の目安とともに解説します。
そもそも「家事按分(かじあんぶん)」とは?
家事按分とは、「仕事とプライベートの両方で使っている費用を、使用割合に応じて仕事分だけ経費にする」ことです。
例えば、スマホ代が月1万円で、仕事での使用が7割、プライベートが3割だとします。
この場合、1万円全額を経費にするのではなく、仕事分の7,000円を経費として計上します。これが家事按分です。
重要なのは、「なぜその割合なのか」を税務署に説明できる根拠を持っておくことです。
1. ガソリン代・車両維持費の按分
軽貨物ドライバーにとって最大の経費です。
黒ナンバーを取得している車両でも、日曜日に家族と買い物に行くなどプライベート利用がある場合は、按分が必要です。
経費にできるもの
-
ガソリン代
-
車検代、修理代、オイル交換代
-
自動車税、重量税
-
任意保険料(事業用)
-
駐車場代
按分の目安と計算方法
もっとも合理的なのは「走行距離」または「使用日数」で分ける方法です 1。
- 週6日稼働・週1日プライベート利用の場合:経費率は約 85%〜90% 程度が目安です。
- ほぼ仕事専用車(黒ナンバー)の場合:プライベートで一切乗らないのであれば、100%経費で問題ありません。
【ポイント】
走行距離を日報やアプリで記録しておくと、税務調査が入った際の強力な証拠になります。
2. スマートフォン・通信費の按分
今や配送業務にスマホは必須です。配送アプリ、地図アプリ、荷主との電話連絡など、使用頻度は非常に高いため、経費として認められます 3。
経費にできるもの
-
月々のスマホ利用料(通話・通信費)
-
自宅のWi-Fi料金(事務作業で使用する場合)
-
業務専用アプリの課金(ゼンリン住宅地図など)
按分の目安
- 仕事専用のスマホ(2台持ち)の場合:仕事用端末の料金は 100%経費 です。
- プライベート兼用のスマホ(1台持ち)の場合:配送中は常に地図アプリや連絡で使用するため、一般的な職種よりも高めに設定できる傾向があります。使用時間や通信量に基づき、50%〜70% 程度を経費計上するドライバーが多いようです。
3. 家賃・光熱費(自宅兼事務所)の按分
ここが一番の悩みどころです。「ドライバーはずっと外にいるから家賃は経費にならない」と思われがちですが、事務作業スペースや荷物・道具の保管場所として使っていれば、一部を経費にできます。
経費にできるもの
-
家賃(持ち家の場合は建物の減価償却費やローン金利)
-
電気代(スマホの充電、事務作業時の照明など)
按分の目安
「床面積」または「使用時間」で計算します。
- 計算例(床面積):50平米の部屋のうち、事務机や制服・台車の保管スペースとして5平米を使っている。→ 5 ÷ 50 = 10%を経費計上。
- 注意点:ドライバー職の場合、自宅で仕事をする時間は短いため、Webデザイナーなどのように50%〜60%を経費にするのは現実的ではありません。10%〜20% 程度が妥当なラインと言われています。
※ただし、「駐車場」を別途借りている場合、その駐車場代は全額(または事業用割合分)経費になります。
【要注意】これは経費になりません!
何でもかんでも経費に入れると、後で痛い目を見ます。以下のものは原則として経費になりません(または別の控除扱いになります)。
| 項目 | 扱い | 理由 |
| 駐車違反の罰金 | NG |
罰則金は経費として認められません(個人の責任です)。
|
| 国民健康保険・年金 | NG |
経費ではなく「社会保険料控除」として所得から引きます 。
|
| 所得税・住民税 | NG | 個人の税金であり、事業経費ではありません。 |
| 1人のランチ代 | NG | 配送中のコンビニ弁当などは「個人的な食事」とみなされます。 |
| スーツ代 | △ |
配送には使わないため基本NG。ただし、営業用のユニフォームや安全靴はOKです 。
|
まとめ:迷ったら「記録」を残そう
家事按分に正解の数字はありません。「50%です」と主張したときに、「週に〇日は仕事で使っているからです」と論理的に説明できるかどうかが全てです。
-
仕事専用なら100%経費(車やスマホを分けるのが最強の節税)。
-
兼用なら、使用実績(距離・時間)に基づいて按分する。
-
領収書はプライベート用と混ざらないように必ず保管する。
正しい知識で経費を計上し、賢く手取りを増やしていきましょう!
※本記事は一般的な事例を紹介したものです。具体的な税務判断については、管轄の税務署または税理士にご相談ください。